患者にケアを拒否された。落ち込んで立ち直れない
20代男性、回復期リハビリ病棟勤務
先日、高齢の女性患者に対して清潔ケアを実施しようとしたところ「やめてください!」と言われ拒否されてしまいました。ケアを拒否されたことがショックで数日経った今でも落ち込んでおり立ち直れていません。
ケアを拒否されて以来、その患者を受け持っていません。清潔ケアの場面以外では普通にコミュニケーションを取っていました。なぜ急にケアを拒否されたのか理由がわかりません。
患者にケアを拒否される私は看護師に向いていないのでしょうか。今後どのように患者と関わっていけばいいかアドバイスが欲しいです。
患者にケアを拒否される経験はとてもショックで辛いですよね。新人であってもベテランであっても、患者に拒否されてしまうと看護師としての自分の存在価値を疑ってしまいます。
しかし、「患者がケアを拒否した」という事実の背景にはさまざまな要因が考えられます。入院中の患者は非日常に身を置いておりストレスに晒されているものです。ケアの拒否の背景には看護師の関わり方だけでなく、患者なりの理由が必ずあります。
ケアを拒否されてしまったときにどのように考えるべきか、患者にどのように対応すべきかの一例をご紹介します。ぜひ、今後の患者との関わりの参考にしてみてくださいね。
無理に拒否するケアを行わない
まず、拒否する患者に対して無理にケアを行わないことが大切です。看護師と患者の信頼関係が崩れてしまうと必要な介入もできなくなります。その場で行わないと治療や症状に悪影響を及ぼすケア以外は、無理に実施せずに様子を見るのはいかがでしょうか。
もしも、ケアを拒否する患者に対して否定的な感情を持ったとしても、看護師は態度に出してはいけません。プロとしての意識を持ち、やんわりと患者の希望を受け入れるとよいのではないでしょうか。また、ケアを拒否する患者の言動を細かく観察できると今後の分析に役立てます。
自分を責めない
「患者にケアを拒否される=看護師失格」このような考えを持っている方もいるのではないでしょうか。拒否にはさまざまな要因が絡むものです。看護師の関わり方に原因がある場合もありますが、患者との相性もあるので気にしすぎる必要はないのではないでしょうか。
自分を責めてしまうと自己肯定感が下がり、自信がなくなっていきます。自信がなくなってしまうと適切な振り返りも行えず、ますます状況が悪くなる「負のスパイラル」に陥ってしまいかねません。
患者にケアを拒否されたという事実を受け止めながら、背景にはさまざまな要因が絡んでいることを意識すると視野が広がるのではないでしょうか。決してあなたの人格が否定された訳ではありません。
拒否の背景にあるさまざまな要因を考える
ケアの拒否の背景にはさまざまな要因があります。いくつかの要因が複雑に絡んだ結果として、ケアの拒否という結果につながっているのです。そのため、ケアの拒否につながるあらゆる要因、可能性を考えてみると患者理解が深まります。
①身体的要因
患者の疾患や症状、加齢に伴う身体的変化によりケアに対して否定的な反応を示すことがあります。たとえば、脳血管疾患により感情コントロールがうまくいかなくなった患者などです。ケアの必要性は理解しつつも、その時の気分によりケアに協力できない場合が考えられます。また、治療内容や使用薬剤の影響も要因として考えられます。とくに高齢者は複数の薬を内服していることが多く、薬剤が精神状態を不安定にさせているのかもしれません。見落としている要因がないかチェックしてみましょう。
②精神的要因
入院生活は患者に大きな精神的ストレスを与えます。健康を害することへの不安や恐怖、孤独感の捉え方は患者によりさまざまです。治療内容や疾患の状態によっては制限の多い生活に強いストレスを感じる患者もいるのではないでしょうか。精神状態が不安定になると看護師の介入を受け入れられなくなる場合があります。ほかの看護師からも情報収集し、患者の精神状態を多面的に捉えてみるのはいかがでしょうか。
③環境要因
環境の変化に対する適応力も患者により異なります。入院すると使い慣れない設備や食べなれない病院食を毎日利用しなくてはいけません。とくにはじめて入院する患者や入院して日が浅い患者は環境の変化に慣れるまで時間がかかるものです。環境の変化も患者の精神状態に影響を与えるストレス要因の一つだと考えてみてはいかがでしょうか。
④患者の価値観
患者にはそれぞれ異なる価値観があります。価値観によっては看護師の介入に拒否を示す場合も少なくありません。たとえば、他者の助けを極力借りたくないと考える人は看護師の介入を嫌がるのではないでしょうか。異性や大きく年齢の離れた看護師の介入に抵抗がある患者もいます。拒否の要因にアプローチしてみる
ケアの拒否につながる要因を考えることができたら可能な限りアプローチしていきましょう。アプローチ方法を考える際にはカンファレンスを開いて複数の人の意見を聞いて、認識が偏らないようにするのがポイントです。
声かけや環境整備、介助方法を工夫し、スタッフ間で共有します。たとえば、異性の介入に羞恥心がある場合は同性の看護師が対応する、病室をできる限り自宅環境に近づけるなどです。アプローチの結果、患者の反応の変化を評価していくといいですよ。
まとめ
今回は患者にケアを拒否された際にどのように考え、対応するべきかを説明しました。とてもショックな出来事ですが自分を責めず、拒否の背景にあるさまざまな要因に目を向けることが重要です。適切なアプローチが考えられるといいですよね。
日々の業務でストレスが溜まっている方は、ストレスの少ない職場へ転職するという選択肢もあります。
転職を成功させる最大のポイントは情報収集です。転職エージェントがもっている医療機関の情報をあなたの転職活動に役立ててみてはいかがでしょうか。