「パワハラ」と「気にしすぎ」の違いがわかりません|看護師の転職お悩み相談【看護師ドットワークス】

「パワハラ」と「気にしすぎ」の違いがわかりません

20代女性、ICU勤務

ICUに配属され、緊張感のある毎日です。重症度の高い患者さんが多く、ミスが許されない場面もあるので、先輩の指導が厳しくなることは理解できます。

しかし、中には「これはパワハラでは?」と感じる先輩の指導があります。たとえば、人格否定のような発言や話しかけてもまともに相手をせず、無視に近い態度を取られることなどです。

そこで、ほかの先輩看護師に相談したところ、「気にしすぎだよ」と言われモヤモヤした気持ちになりました。「パワハラ」と「気にしすぎ」の違いは何なのでしょうか?

看護師の転職お悩み相談の質問

ICUでの緊張感のある勤務お疲れ様です。「パワハラ」という言葉をテレビやインターネットなどで、頻繁に目にするようになりました。しかし、医療業界は古い体質が残っており、パワハラが横行している職場も多いのが現実です。

とくに看護師は他者とコミュニケーションを取る機会が多い職業です。そのため、対人関係に悩むことも多いですよね。

大切なのはパワハラがどのような行為であるかを明確にし、被害者にならないことです。それでは、職場でのパワハラの定義や対策を見ていきましょう。

職場でのパワハラの定義

厚生労働省が公開しているパワハラの定義は以下の3要素を含む行為です。

①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

引用:パワーハラスメントの定義について(厚生労働省)

新人看護師の立場に置き換えると、「①先輩や上司、医師から」「②指導の範囲とは言えない」「③客観的に心身への苦痛を与えられる、または不当に孤立させる」となります。

また、一般的に「パワハラ」と言えば、身体的な攻撃や罵倒による精神的な攻撃を思い浮かべるかもしれません。しかし、「人間関係からの切り離し」、「過少・過大な要求」、「個の侵害」などもパワハラに含まれます。

たとえば、「あいさつを無視、仕事や連絡事項を故意に伝えない」といった行為は、人間関係からの切り離しになる可能性があります。ほかにも、成長の遅れている新人看護師に対して、患者さんへのケアを行わせずに雑用のみを行わせるのも過少な要求になるかもしれません。

このように、パワハラは看護師の職場でも、意外と身近な存在と言えるのかもしれません。「気にしすぎ」と言われても、客観的な視点で周囲の言動を判断するのが大切です。

パワハラは組織の問題でもある

なぜ、職場でパワハラが発生するのでしょうか。「パワハラが発生するのは、ミスが許されない仕事だから」このように考える方もいるかもしれません。しかし、同じように緊張感のある仕事であっても、パワハラが発生しない職場もあります。

なぜなら、パワハラが発生する最も大きな原因は、「組織の体質」にあるからです。具体的には現状維持を望み、問題解決を面倒くさがる組織はパワハラを許容する傾向にあります。

もちろん、パワハラを行う個人は問題人物です。しかし、パワハラは誰もが被害者や加害者になってしまう可能性があります。パワハラに対しお咎めなしの組織の体質では、いき過ぎた指導が無自覚にパワハラにつながることもあるでしょう。

パワハラを受けた新人看護師は自信を喪失し、仕事への意欲が低下します。パワハラの間接的な被害も見逃せません。自分が被害者にならないために他者に攻撃的になったり、疑心暗鬼に陥ってしまったりといった影響が考えられます。

また、パワハラの場面を患者さんや外部の人物が目撃することで、職場の社会的信用も低下します。このように、パワハラは個人だけの問題ではなく、組織で解決に取り組むべき問題であると言えるかもしれません。

「気にしすぎ」と言われ悩む新人看護師が考えること

パワハラに対し「気にしすぎ」と言われると、自分の至らない点だけが責任と思い込み、抱え込んでしまう方も多いかもしれません。しかし、嫌な思いを抱え込んでしまうと自分を傷つけてしまいます。

まず、職場でどのような言動が行われているか詳細にメモを取り、信頼できる人に相談してみましょう。同じ職場の人だと情報が漏れないか心配であれば、院外の知人でも構いません。
もしも、相談するべき相手がいなければ第三者への相談窓口を調べるのがおすすめです。

新人看護師が職場の体質を変えて、パワハラ根絶に取り組むのは大変困難だと思います。まずは、自分自身がパワハラの被害から逃れることを第一に考えるのがよいのではないでしょうか。

パワハラ対策として組織が取り組むべきこと

パワハラが横行する組織の体質を変えるには、管理職やリーダークラスの発言力がある看護師の行動が不可欠です。

具体的には、「①パワハラの定義を明記する」「②パワハラ防止のメッセージを発信する」「③実態を把握する」、このような取り組みが考えられます。

①パワハラの定義を明記する

無視する、不当に仕事をさせないなどがパワハラになる可能性を明記します。また、パワハラを行う者への罰則規定の明記も必要です。

②パワハラ防止のメッセージを発信する

管理職やリーダークラスの発言力のある看護師が、パワハラは取り組むべき組織の最重要課題であると発信します。院内研修を通した教育も有効です。

③実態を把握する

パワハラを相談できずに悩む看護師は多いと考えられます。匿名アンケートや相談窓口を設置し、パワハラの実態を的確に捉えることが必要です。

パワハラを目撃した時にできること

自分が被害者でなくても、パワハラだと考えられる行為を目撃した際には、周囲への相談が大切です。被害者本人は、訴えを起こすことができない場合もあります。また、他者からの報告の方が客観的であり、解決に取り組んでもらいやすくなるかもしれません。

日頃から職場でのコミュニケーションを積極的に行い、いざという時に相談できる人物を見極めておくといいですよ。

まとめ

世の中のパワハラへの意識が高まる一方で、パワハラに悩む看護師がいまだにいるのが現実です。自分の中で抱え込むだけでは、状況は悪くなってしまいます。まずはしっかりと状況を記録し、信頼できる人物への相談からはじめてみませんか。

転職エージェントでは職場の人間関係に悩む看護師への転職相談を行っています。組織の体質改善に取り組むのは多くのエネルギーや時間が必要です。そのため、人によっては難しいかもしれません。

環境を変えることで、人間関係の悩みを解決している方はたくさんいます。コーディネーターがあなたの悩みに寄りそって最適なアドバイスと提案をしてくれますよ。一人きりで悩まず、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

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