看護師の責任の重さを感じ、仕事に行きたくありません。
2年目看護師、23歳女性、外科病棟勤務
看護師として2年目を迎え、先輩の目のないところで看護をする機会が増えてきました。必然的にミスが増え、上司や先輩に注意される日が続いています。
注意されること自体は大丈夫なのですが、ミスすれば患者さんの病状に影響すると思うと仕事に集中できません。また、段々とその責任の重さから仕事に行きたくなくなってきました。どうすればいいでしょうか。
看護師を経験している人なら、誰しも「責任の重さ」を感じることがあります。そのほとんどが、質問者さんのように自分のミスがきっかけのことが多いのではないでしょうか。
看護に責任をもって取り組むことはとても重要です。しかし、必要以上に責任の重さを感じてしまうと、「ストレスが溜まりミスが続く」といったように仕事に影響を及ぼしてしまいます。
また、責任の重さをネガティブに捉えたり、ミスが続いたりすると看護師としての自信を失ってしまうこともあるので注意が必要です。
そこで、看護師の責任の重さにどう向き合うのか、ポジティブにとらえるにはどうすればいいのかを解説していきます。
責任の重さを感じる場面
日々の看護のなかで、責任の重さを感じる場面は数多くあります。そのなかでも、とくに看護師が責任の重さを感じやすい場面を紹介しましょう。また、そういった場面に遭遇した際、看護師としてどう向き合うべきなのかについてもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
患者の生死にかかわるようなミスをした
患者さんの命を預かっている看護師は、生死に関わるミスと常に隣り合わせです。日常的な業務をひとつとってみても、配役や点滴のミスは直接患者さんの生死に関わります。そのため、看護師が責任の重さを感じる、最も多いシチュエーションといえるでしょう。私は手術室看護師として勤務していますが、器械出しや外回り業務には常に高い精度の看護が求められます。心臓血管外科の手術では、看護師のミスが手術のクオリティを左右することもあります。
しかし、自ら望んでミスをしている人などいるわけがありません。また、どの職場でもダブルチェックやトリプルチェックの実施、マニュアルの改善など、ミスを防ぐ努力は日々行われているはずです。
ミスに関していえば、大事なのは「二度同じミスをしないこと」に限ります。どれだけ経験を積んでいてもミスは起こります。そのため、ミスをした際には原因にしっかりと向き合い、二度同じミスをしないよう努力しましょう。それが看護師としての責任の重さを理解し、責任を果たすことにつながります。
急変に対応できなかった
患者さんの急変は、看護師の業務の中で一番緊張が走る場面です。同時に、看護師としての実力が試される場面でもあります。医師や先輩看護師が機敏に動くなか、何もできずにあたふたしてしまった経験はありませんか。私は新人時代、ほぼ毎日こういった経験をしていました。そのたびに、自分の知識のなさや未熟な技術に無力さを感じ、「看護師としての責任を果たせているのだろうか」と苦悩していたのを、いまでも鮮明に思い出すことができます。
最初から急変に対応できる看護師はいませんし、どれだけ経験を積んで急変に対応しても、「あの時もっとこうしていれば…」と反省することばかりです。そのため、一度急変に対応できなかったからといって、必要以上に責任を感じる必要はありません。
また、患者さんの急変にはチームで対応する場合がほとんどで、看護師ひとりが責任を負うといったことはありません。急変対応をするたびに、少しずつ看護の質を向上させていけば大丈夫です。
後輩看護師への指導がうまくいかないとき
プリセプターやアソシエイトなど後輩看護師の指導を任されることに関して、責任が重いと感じることがあります。「うまく育たなかったらどうしよう」と心配になることや「先輩から後輩の指導に関して文句を言われた」など、そう感じる場面が多いのも事実です。実際に後輩看護師の指導は、間接的に患者の看護にも影響します。また、後輩のミスは指導者のミスとなるため、責任がより重く感じられるのではないでしょうか。自分が考えるベストの指導をしたとしても、必ずしも後輩看護師が順調に成長できるとは限らないことも原因のひとつにあげられます。
後輩看護師への指導がうまくいかないと感じたときは、先輩看護師からのアドバイスを参考にするのがおすすめです。自分を指導していたときに、どういったことを考え注意していたのかを助言してもらい自分の指導と照らし合わせてみましょう。自分が指導者になってはじめて理解できることが、たくさんあるはずです。
プリセプターやアソシエイトといった役割はあっても、後輩への指導は職場全体で行っていくものです。そのため、指導の悩みを自分ひとりで抱え込み、責任を重く感じる必要はありませんよ。
責任の重さをポジティブにとらえる考え方
ここまでは、看護師が責任の重さを感じる頻度の多い場面について紹介してきました。紹介した内容以外にも責任の重さを感じることはたくさんあると思います。そういった際に重要なのは、責任が重いことをポジティブにとらえることです。
たとえば、「責任の重さ=やりがい」と考えてみるのはいかがでしょうか。やりがいのある重要な仕事というのは、看護師に限らず大きな責任がともなうものです。しかし、患者さんが退院したときや感謝の言葉を言われたとき、看護がうまくいったときなど「看護師をやっていてよかった」と感じたことがあると思います。
そういった喜びは責任の重い看護師だからこそ、得られた体験です。責任がなく簡単な仕事ばかりしていては、同じ出来事でも大きな喜びを感じることはないかもしれません。自分の実力を周囲が認めてくれているからこそ、あなたに責任の重い重要な仕事を任せてくれているのです。
このような考え方は一例に過ぎませんが、看護師としての成功体験や単純に嬉しかったことを思い出し、責任の重さについてポジティブに考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ミスや反省することが続くと、責任の重さを感じて仕事が嫌になることは誰しも経験したことがあります。むしろ、その経験なく仕事を続けられる看護師はいないといってもいいでしょう。命の現場で働く看護師という職業には「責任の重さ」が一生ついて回ります。
一方で、責任の重さは悪いことばかりではありません。ポジティブにとらえることによって、看護師としての自己効力感、知識・技術を向上させる要素にもなり得ます。今回解説した場面や考え方を参考に、看護師の責任の重さと向き合ってみてください。
もし、どんなに努力してもいまの職場では働き続けられないと感じたら、転職という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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