すぐ患者さんにあだ名をつけるスタッフが気になります……
20代女性、脳外科勤務、転職経験なし
職場に患者さんの名前や特徴を捉えて、あだ名をつけるのがクセになっているスタッフがいます。本人には悪気はないようですが、高齢者に対して「○○ちゃん」などのあだ名をつけるのは不適切ではないでしょうか。
患者さんやご家族の前では、きちんと名前で呼んでいるようですが、正直なところ不快です。ただ、私自身のことではないし、ほかのスタッフも何も言わないので放置しています。
あだ名が気になる気持ちと、余計なことを言ってトラブルに巻き込まれたくない気持ちの両方があって悩んでいます。どのように対応すべきでしょうか?
言葉遣いは看護学生や新人時代に、口酸っぱく指導されてきた方も多いのではないでしょうか。ところが、経験年数を重ねて仕事にも慣れてくると、だんだんと言葉遣いが乱れてくる看護師が一定数いるのが現実です。
スタッフ本人は親しみを込めてあだ名をつけているつもりでも、患者さんの尊厳を傷つけている可能性があります。また、ほかのスタッフが不快に感じているのであれば、なおさら辞めるべきでしょう。
今回は患者さんにあだ名をつける行為についてと、スタッフへの対応について説明します。ぜひ、対応の際の参考にしてみてください。
患者さんへのあだ名は不適切であり事故の原因にもなる
冒頭でも触れたとおり、患者さんにあだ名をつけるのは悪意がなくても不適切な行為です。日本看護倫理学会が示すガイドラインにも「患者と看護師の平等な関係は、患者の呼び方から始まる」と明記されています。
引用:医療や看護を受ける高齢者の尊厳を守るためのガイドライン(日本看護倫理学会)
さらにガイドラインでは、「患者の尊厳を意識せず見下した関係に置くことは、患者その人を軽視したケアにつながりかねません。」ともされています。些細な言葉遣いから、患者さんを尊重し、丁寧なケアをする気持ちが失われる可能性があるのではないでしょうか。
また、不適切な言葉遣いは重大な事故の原因にもなってしまいます。たとえば、あだ名で申し送られた場合に、認識の違いにより別の患者さんに処置が行われる可能性が考えられます。よく似た名前や顔の高齢者が入院するのは、珍しいことではありませんよね。
もしも、重大な事故に繋がった場合、あだ名を許容していたスタッフ全体に責任が及ぶ可能性も否定できません。上記のように、あだ名呼びは患者さんの尊厳を傷つけ、重大な事故を招く可能性があるため、やめた方がよいでしょう。
正しい接遇を身に着ける
まずは、自分自身が正しい接遇を身に着けることからはじめてみると、いいかもしれません。身に着けるべきは正しい言葉遣いだけではなく、態度やマナーも必要です。言葉だけでなく、態度でも患者さんへの敬意を伝えていきたいですね。
具体的には、患者さんは「苗字+さん」で呼ぶのを基本とし、同性者がいる場合はフルネームで呼ぶなどして対応しましょう。そして、失礼のない敬語が使えているか、親しみやすい声掛けであるかもチェックしていきます。
言葉の内容以外の印象もとても大切です。患者さんは看護師に清潔感や誠実さを求める場合が多いのではないでしょうか。病院で定められている身だしなみやルールをキッチリと守り、相手に好印象を与えるように心がけます。
打ち解けた関係になった患者さんであっても、一定の距離感は必要であり、不適切な距離感は第三者に誤解を与えかねません。いつどこで、第三者に見られているかわかりませんので、油断しないようにしていきたいですね。
「患者様」と「患者さん」はどちらが適切?
「患者様」と「患者さん」のどちらで呼ぶのが適切か、迷う方は多いのではないでしょうか。少し前に「患者中心の医療」や「接遇の見直し」が医療業界で話題になった時期がありました。その時期に「患者様」という言葉を採用した病院が増えたようです。しかし、近年になって誤解招く表現として、「患者さん」に変更する流れも出てきています。
そのため、現時点では「患者様」と「患者さん」のどちらが正しいか判断はできません。ご自身の職場の方針に従い、使う言葉を選んでいくのが無難でしょう。
ナースステーションでの言動も見られている
見落とされがちなのが、スタッフ同士で会話する際の言葉遣いです。患者さんの前では気を付けていても、スタッフ同士だと気が緩んでしまう方もいるかもしれません。
ナースステーションでの会話は病室まで聞こえることもあり、内容によってはクレームにつながることも少なくありません。また、ナースステーションで髪をほどいてしまったり、スマホを触ったりする様子を面会に来たご家族が見かけると不快に思うこともあります。
ユニフォームを着ている間はプロの医療者としての自覚を持たなければなりません。不適切な言動が染みついてしまうと、無意識のうちに患者さんや別のスタッフを不快にさせてしまうものです。
たとえ、誰も見ていない場面であっても、自分自身の言動がプロの医療者として適切であるか自問していくとよいのではないでしょうか。
言動の気になるスタッフへの対応は細心の注意を払う
自分は言動に気を付けていても、ほかのスタッフの不適切な言動が気になる場合もありますよね。ほかのスタッフの言動であったとしても、病院全体の評価につながってしまうので、改善していかなければなりません。
ただし、問題のあるスタッフに対して、直接的に指導や注意をするとトラブルに発展する可能性があります。そのため、研修やポスターを通しての全体への周知や、管理職に報告して指導を検討してもらうといった、間接的な方法が無難です。
あるいは、自分自身がほかのスタッフが真似したくなるような、正しい言動を身に着けるのも有効かもしれません。いずれにしても、慎重な対応が求められます。
まとめ
今回は、患者さんにあだ名をつけるスタッフが気になってしまう場合の対処法について、ご説明しました。まずは自分自身が正しい言動を身に着け、問題のあるスタッフへは慎重に対応していきましょう。
転職エージェントでは、職場の雰囲気に馴染めずに転職を検討する看護師さんへの転職支援を行っています。職場の風土を変えるには多大な時間とエネルギーを要します。そのため、場合によっては転職して、自分に合った職場を探す方がいいかもしれません。
転職コーディネーターは、医療機関と密に連携を取って情報収集しています。転職を成功させるポイントは、情報収集を効率よく進めることです。ぜひ、お気軽に相談してみてくださいね。