先輩の方が髪も明るいし化粧も派手なのに…どうして私だけ注意されたのでしょうか?|看護師の転職お悩み相談【看護師ドットワークス】

先輩の方が髪も明るいし化粧も派手なのに…どうして私だけ注意されたのでしょうか?

2年目看護師、20代女性、大学病院内科勤務 

看護師2年目です。新卒で大学病院へ就職し忙しい毎日を過ごしていたのですが、少しずつ業務にも慣れてきて、ようやくおしゃれをする余裕も出てきました。都心で一人暮らしもしているしお金にも余裕が出てきたので、せっかくなら私もおしゃれを楽しみたいと思うようになったとことです。

美容室で髪を染めたり、デパートでお化粧品を揃えたりして気分も上がって出勤していたのですが、先日師長に「その髪の色は明るすぎるし、お化粧も濃いと思う。病院で看護の仕事をするのにそのおしゃれは必要?」と呼び出されてしまいました。

周りの先輩の髪はもっと明るいし化粧も派手なのに…どうして看護師はおしゃれをしてはいけないのでしょうか?それとも3年目になれば許されるのでしょうか?同じ看護師なのにまだ新人だからって差別な気がします。

看護師の転職お悩み相談の質問

1年目は毎日が勉強と仕事の往復で忙しい日々を送り、自分のことにかまけている暇もありませんよね。2年目になってようやく自分の生活が落ち着いてきたところで、おしゃれを楽しみたいという相談者さんのお気持ちはよくわかります。

今回はおしゃれをしたいと気分を変えて髪を染めてみたら、ほかの先輩方の髪の色の方がもっと明るいのにどうして自分だけ上司に注意され、なぜおしゃれがだめなのかというご相談ですね。

10年目看護師の私の体験談をもとに、看護師のおしゃれについてお話していきたいと思います。

看護師はおしゃれに関する決まりがある

皆さんの就業されている病院には、看護師の身だしなみについてどのような規則がありますか?ほとんどの病院では、ネイルや華美なアクセサリー、香水などは禁止されていることでしょう。

一般的に、看護師が派手なおしゃれをしてはいけない理由として、医療において清潔さを保つためや、患者さんのなかに看護師の服装の乱れを気にされる方もいるというものがあげられます。

しかし、看護師は女性が多い職種です。若い女性の場合はとくに、身だしなみに気を使いたいと思う人も多いものです。

それに同年代の子たちはネイルをしたり、アクセサリーをつけたり、髪の毛を染めても何も言われないのに、どうして看護師だけがそのように服装について言われてしまうのか、不公平だという思いになりますよね。

では、なぜ看護師には身だしなみに関する規則が多いのでしょうか?そもそも身だしなみは誰のためなのかを考えていきましょう。

見た目は第一印相を決める!メラビアンの法則

 
皆さんの病院にはマナー研修はあったでしょうか。私の勤務する病院では1年目のときにマナー研修があり、ホテルで支配人をされていた方をマナー講師として呼んで接遇について学ぶ機会がありました。

そのときの話の中でいまでも印象に残っているのが、

【あなたが患者さんの立場で手術が終わって目を覚ましたときに「お疲れ様でした」と言って寄り添ってもらいたいのはどちらの看護師さんですか?】

という問題です。

2つの異なる看護師の写真を出されたのですが、1つは清楚な印象があるお手本のような看護師、もう1つは金髪で髪型も乱れ大きなピアスをつけた看護師の写真でした。

どちらも患者さんの目線でベッドに寝た状態から見上げるようにしたアングルでしたが、ほとんどが前者の看護師を選択していました。

では、なぜ後者の看護師が選ばれなかったのか、その理由には「不真面目な感じがする」「清潔感がない」「自分(患者)のことよりもおしゃれをする方に意識が向いていそうで不快」という意見が出たのです。

じつは第一印象というのはとても重要で、有名なものとして“メラビアンの法則”があります。

メラビアンの法則というのは、他人とコミュニケーションをとるときに、言語・聴覚・視覚の3つの情報から相手を判断していると仮定した場合、情報が相手に与える影響は言語が7%、聴覚が38%、視覚が55%と数値化したものです。

見た目や表情などの視覚情報は、第一印象を決めるのにもっとも重要視されていることがわかります。

引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

患者さんが望む看護師像

看護師という仕事は、患者さんの生活をサポートする重要な役割を持っています。患者さんやご家族は、生命の危機的な不安をかかえながら入院されている方がほとんどです。

そのため、人間の一般的な心理として、自分に対して誠実な対応をしてくれる人に看護を依頼したいという気持ちが働くことでしょう。

さらに、病院は清潔さを求められる場所であるため、基本的に“白”というイメージが強く、また看護師は“白衣の天使”とも呼ばれることもあることから、清廉さを連想させられてしまいます。

清廉という言葉から金髪、濃い化粧、きらびやかなアクセサリーをイメージする人は少ないのではないでしょうか。

もちろん、仕事に対する誠実さは見た目だけで判断できないこともしばしばです。見た目がちゃんとしていても、仕事のスキルが低かったり思いやりに欠けるような言葉遣いをする人だったりもいます。

それらの情報は、受け手である患者さんは看護師と長い付き合いを通して取得していくため、まずはメラビアンの法則にもあるように視覚的情報から判断してしまうのです。

おしゃれは相手がいてこそ発揮される個性

そもそも「おしゃれ」の定義について、辞書では「服装や化粧などを洗練したものにしようと気を配ること。洗練されていること」とあります。

そして、雑誌などではモデルが流行の服やメイクを取り入れ紹介され、個性を表現できるツールとしてさまざまなものが“おしゃれ”として紹介されています。

しかし、おしゃれの定義には髪の毛の色や化粧の濃さといった内容までは明記されていません。自分が髪形や服装にどんなに気を配ったとしても、相手に洗練していると判断してもらってはじめておしゃれな人と思われるのです。
 
では、今回の質問についてはどうでしょうか。

どんな仕事にもTPOがある

仕事に余裕が出てきたから自分なりのおしゃれを楽しみたいと思って髪の毛を染めた、そのこと自体は悪いことではありません。むしろ自分なりに仕事のモチベーションを向上させるためのツールとしておしゃれを選んだのだともいえます。
 
たとえば、美容師さんやアパレル業などのいわゆる“おしゃれ”を売る人にとっては、その店員さん自体も広告としての役割を担っているので、自社の製品を売るためにおしゃれを発揮することも仕事です。

しかし、私たちは看護師であって、決して“美”を売る職業ではありません。例外として美容整形外科などはありますが、ここで注目しなくてはいけないのは「看護師の仕事」をするためにということです。

たしかに髪の色が金髪であっても患者さんの命には直接なんら影響はありません。しかし、患者さんの安心感は得られないとも考えられます。

それでは、ピアスやネックレスはどうでしょうか。
私は集中治療室で勤務していますが、先輩からこんな話を聞いたことがあります。

心肺蘇生中にピアスが落下したことに気付かず患者さんの体の下に入ってしまい長時間接触していたことで水泡形成をしてしまったこと。

もうひとつは、体位変換をするさいに暴れた患者さんの手がネックレスに引っかかってしまい、転倒して大怪我を負ってしまったこともあるそうです。

実際に胸ポケット周りのネームプレートやボールペンは患者さんの移乗介助のときにけがをさせる可能性があり、私の病院では禁止されています。近年は衛生面からも結婚指輪などもなるべく外すように推奨されています。

私たちの仕事は患者さんに寄り添うことですよね。ですから、患者さんに不安を与えてしまうような身だしなみや、自分や患者さんを危険に晒すような服装は、ふさわしくないといえるのではないでしょうか。

そして、患者さんに不安感を与えない髪の色や服装、化粧については、それぞれの病院で規定されています。仕事に責任をもつということは、まずTPOに合った服装を心掛けることも大切ですよね。

新人看護師が気をつけるべき髪型やおしゃれについては、下記の記事でも詳しくご説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考記事:新人看護師の髪型と髪色とピアスの問題

しっかりとルールを守ったうえで看護師としてのおしゃれをしよう

では、看護師の私たちは、どのようにおしゃれを楽しめばいいのでしょうか。多くの場合、髪色はカラーリングとしてヘアカラースケールのレベル7くらいまでが望ましいとされていることが多いようです。

逆に、日本人らしい黒髪だと白いユニフォームと対比して重苦しく感じるという人もいますので、あえてカラーリングをして少し明るく見せることを推奨する場合もあります。

また、最近では若い男性看護師でも白髪が多いことに悩む人もいて、カラーリングをした方が、清潔感があるという人もいるのです。

実際にカラーリングをすると髪質によっては明るくなりすぎる場合もあるので、美容室などで実際にカラーサンプルを見ながら相談する方が失敗も少ないですよ。

そして、現在はインナーカラーやグラデーションなど同じヘアカラーでも方法がさまざまですから、希望すれば同じレベル7であっても印象を変えることも可能です。
 
アクセサリーについては、勤務中は小ぶりなものをつける程度にし、勤務終了後に付け替えれば落としてしまうことや引っかかってしまうリスクも減らせます。
 
そして、もっとも気をつけなくてはいけないのが香りです。療養中の方のなかには絶飲食をされている方も多く、香りに敏感な方が多いのです。看護師の行うフィジカルアセスメントには嗅覚から得られる情報もあります。

残念ながら香水はNGです。看護には必要のないものですが化粧品にも香料が使われているものも多く、華美な化粧が嗅覚を損なってしまったり、患者さんに不快感を与えてしまったりする可能性もあります。

普段は薄化粧で、勤務終了後の化粧直しで整える程度がよいのではないでしょうか。

経験年数で優遇されることはない

これらのマナーは看護師経験が1年目だから、10年だから20年だからで線引きされるものではなく、病院におけるマナーとして決まりがあるものです。

髪の毛が先輩は明るくても許されるということは、本来はあってはいけないことといえます。

しかし、どうしても日本の教育の風潮として「仕事も満足にできないのにおしゃれに気を使うなんて」という印象を与えてしまうことは往々にしてあります。ただ、そこであらためて考えてほしいのは、何のために、誰のためにおしゃれをするのかです。

心の余裕の表れが身だしなみに現れたのちに仕事が雑になった、アクシデントが増えたとなれば、後ろ指を指されてしまう原因にもなります。

また、師長は現場を管理する役割がありますから、院内の規約に沿ってスタッフの指導をするのも当たり前のことととらえてみましょう。そこで周りと比べたりするのは適切ではありません。

理不尽なように感じるかもしれませんが、ルールを破ってまでおしゃれを突き通すことが自分にとって本当に必要なことなのか、振り返ってみてくださいね。

まとめ

私たち看護師の仕事は、きついことや汚物を扱うなど一般的に汚いとされている業務もあり、少しでもモチベーションを上げたいという気持ちが表れるのもよくわかります。

しかし、患者さんにとって不安な気持ちを助長するような身なりではプロとはいえませんよね。病院内では、患者さんに安心感をもって療養生活に励んでもらえるような身だしなみを心がけることが看護師のおしゃれの基本といえます。

ぜひ、患者さんに「目が覚めたときにこの人がそばにいてくれると安心する」と思われるような看護師でいられるよう、看護師としての身だしなみの範囲内でおしゃれを取り入れていきましょう。

身だしなみの規定についてはそれぞれの病院で異なり、大学病院では比較的厳しく、個人クリニックでは緩めという印象があります。

どうしても身だしなみの規定が自分には合わないと感じた場合は、より自分が働きやすいと感じる勤務先を検討するのもひとつの方法です。

転職エージェントでは、自分に合った職場を探している看護師さんに、それぞれのご希望に添った求人をご提案しています。

いまの職場になじめない、先輩後輩の人間関係に疲れてしまったなどのお悩みがありましたら、ぜひお気軽に相談してみてくださいね。

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