新卒から精神科で働いています。一般科への転職は可能でしょうか?
4年目看護師、20代男性、精神科勤務
新卒で精神科に配属され、ちょうど4年間働きました。精神科での看護はやりがいがあり、とても充実した毎日を過ごしています。その反面で、ほかの領域での看護も経験したい気持ちもあり、転職を検討しはじめました。
精神科ではコミュニケーションを用いた心のケア、セルフケアへの支援が中心でした。そのため、一般科で行われるような点滴やモニター管理、創傷処置はあまり経験がありません。
このように精神科での経験がない私でも、一般科への転職は可能でしょうか。それとも、精神科にとどまり、専門性を高めていく方がよいのでしょうか。
「精神科は看護師の墓場」といわれる時代がありました。学生時代に「精神科は看護技術や知識が身に着かないから新卒で行かない方がよい」などと聞いたことがある方も多いかもしれませんね。
結論からお伝えすると、精神科から一般科への転職は可能です。実際に新卒から精神科で勤務していた看護師が、一般科への転職を成功させたケースは多くあります。なので、精神科から一般科への転職を過度に不安に思う必要ありません。
なぜ、精神科から一般科への転職が難しいと思われているのか、実際に転職するにはどのような準備が必要なのかをご説明します。ぜひ、参考にしてみてください。
一般的な看護技術が不足しやすいのは事実
精神科の看護師に求められる主な役割は、
① 心理ケア
② 患者状態のアセスメント
③ セルフケア援助
④ 与薬
であり、一般的な看護技術と異なるのが特徴です。患者さんはADLが自立している方が多く、身体的なケアを必要としない場合も多いかもしれません。
そのため、一般的な看護技術を実践する機会が少なく、経験や知識が不足しやすいのは事実です。とくに人工呼吸器やモニターといった、高度な医療機器に触れる機会は多くはないでしょう。
だからといって、精神科における看護と一般科での看護に共通点がないわけではありません。たとえば、患者さんへの与薬は6Rを確認し、確実に行うなどは共通しています。
精神科においても一般的な看護の知識は求められます。なぜなら、患者さんの中には精神疾患以外の既往歴をもっており、急変を起こすリスクがあるからです。いざというときの対応は看護師として、いつでも準備しておくべきといえるかもしれません。
また、精神科の患者さんの中には高齢者も多数いるため、高齢者看護の知識は身につきやすいといえます。
一般科でも精神看護は活かされる
「精神科で働いた経験は一般科では活かせないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、そんなことはありません。なぜなら、患者さんを正しく理解するには、身体面だけでなく精神面や社会面からのアセスメントも必要だからです。
近年、うつ病が増加しており、精神疾患は誰にとっても身近なものとなっています。そして、身体面での不調が精神面にも影響し、精神症状をきたす場合もあるでしょう。
たとえば、がん患者さんの場合、がんが発覚してから抗がん剤や手術、放射線療法を行う過程で思うような成果が得られないこともありえます。
治療が思うように進まないストレスは患者さんにとって大きなストレスです。ときには治療継続を阻害する要因にもなるでしょう。長期戦になりがちな、がん治療においてストレスといかに向き合うかは、大きな課題のひとつです。
このような場面において、精神科看護師の心のケアの経験が活かされます。がんも精神疾患も長期戦になりがちという共通点があり、患者さんがいかに治療と前向きに向き合うかのサポートが必要です。
セルフケアへの支援も一般科で活かされる看護です。セルフケアが欠けていると病状に悪影響を及ぼします。そのため、慢性期の疾患や生活習慣病の患者さんにとって、治療そのものよりもセルフケアが大切になる場合があります。
患者さんのセルフケア能力を引き出すには、高度なコミュニケーション能力や精神面のアセスメント能力が必要です。これらの能力は精神看護で培うことができます。よって、精神科での経験は、場所が変わっても患者さんのセルフケア支援に役立てられます。
技術や知識よりも学ぶ気持ちが大切
精神科から一般科への転職を検討する際にハードルとなるのが、看護技術やフィジカルアセスメントの知識が不足していることではないでしょうか。先ほどご説明したとおり、精神科での看護は専門性が高く、一般科で求められる能力と異なる部分が多いのです。
たしかに精神科から一般科へ転職すると、不足している技術や知識を補うのに苦労するかもしれません。しかし、それは精神科からの転職に限らず、転職を経験する看護師に勉強はかかせないものです。
近年、医療はますます細分化されてきており、同じ病院内であっても部署が変わると業務内容や必要な技術・知識が異なる場合も珍しくありません。ですので、精神科からの転職だからといって、特別に考えすぎなくてもよいのではないでしょうか。
大切なのは、新しい職場で一から学ぼうという気持ちです。謙虚に学ぶ気持ちがあれば、不足している技術や知識も補えますし、人間関係で悩む機会も減るでしょう。
転職したい理由を明らかにするとモチベーション維持につながる
転職後に学ぶ気持ちをモチベーション高く維持するには、転職したい理由を明らかにしておくとよいです。精神科から一般科への転職を検討する理由を「なんとなく」ではなく、「○○の分野の勉強がしたい」などと明らかにしてみましょう。そうすることで、転職後も技術や知識を勉強するためのモチベーションが維持しやすくなりますよ。ぜひ、自分の気持ちと向き合う時間を作ってみてください。
まとめ
今回は精神科から一般科への転職についてご説明しました。看護技術や知識の面でハードルがあるのは事実ですが、学ぶ気持ちがあればハードルは必ず乗り越えられます。自分の気持ちを優先して、転職を検討してみてくださいね。
転職エージェントでは、精神科から転職を検討する看護師さんを支援しています。一口に転職と言っても選択肢はとても多く、情報収集が大変ですよね。転職エージェントは医療機関と密に連携を取っており、豊富な情報を持っていますので、ぜひご活用ください。
また、転職を成功させるポイントのひとつは転職者と医療機関のニーズをマッチさせることです。複数の転職エージェントに相談して、あなたのニーズを明らかにしながら転職先を探してみてはいかがでしょうか。