患者さんと医師の板挟みになり、どうすればいいかわかりません
20代女性、総合内科所属、転職経験なし
患者さんから医師に対する不満を言われることがあります。内容は治療に関することや、対応に関することが多いです。
また、医師に患者さんからの不満を伝えるものの、「あの人はいつもそうだから」「ちゃんと説明しているよ」と流されてしまいます。そればかりか「説明しておいてください」と言われてしまい、話が進まないことも珍しくありません。
患者さんには医師に話を流されてしまったとも言えず、お茶を濁すように誤魔化すようにしています。
看護師として無力を感じてしまい、辛い状況です。このように患者さんと医師の板挟みなってしまったとき、どのように対応すればよいのでしょうか?
患者さんと医師の板挟みになってしまうのは辛いですよね。お互いに相手に伝えきれないことがあり、すれ違いが起きているのかもしれません。コミュニケーションのすれ違いを減らすことで状況が改善できるかもしれませんよ。
患者さんが納得して治療を受けられるように支援するのも看護師の役割のひとつです。今回のようなことが起きたときにどのように対応していくべきか、例をご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
患者さんが医師に伝えたいことを確認する
まずは患者さんの訴えの内容について、看護師がしっかりと傾聴し把握しましょう。入院中の患者さんが、最も接する機会が多いのが看護師です。傾聴することで多少は不満が解消されるかもしれません。
そして、傾聴したら患者さんの訴えの内容にも注目していきます。何に対して不満を感じているのか、医師をはじめとした医療者にどのように対応してほしいのかを把握していきましょう。
たとえば、一言に治療に対する不安があるといっても、説明が理解できていないことへの不安であるのか、方針の変更に対する不安であるか、などさまざまです。
そのため、傾聴しながらも患者さんの訴えの内容と、看護師の理解に相違がないように確認していくのがポイントです。
患者さん自身も看護師と話をすることで、自分が何に対して不満を感じているのか明らかになるかもしれません。
患者さんと医師のコミュニケーションを支援する
看護師が患者さんと医師との板挟みにならないための最大のポイントは、患者さんと医師のコミュニケーションがスムーズにいくことです。
そのためには、看護師が患者さんの訴えを把握し、医師とのコミュニケーションを支援する必要があります。
患者さんと医師のコミュニケーションがよりスムーズになるための3つのポイントをご紹介します。
①メモを準備して医師とコミュニケーションを取ってもらう
患者さんによっては、医師と話すときに緊張してしまうことがあります。伝えたいことがあっても、緊張してしまうと何をどのように伝えたらいいのか、わからなくなってしまうのでしょう。また、医師も過密なスケジュールで業務にあたっており、患者さんと長時間話して訴えを傾聴するのが難しいのも現実です。
そこで有効なのが、患者さんが医師の診察やICなどの際に、あらかじめ医師に聞きたいことのメモを準備しておくことです。単純なことですが、患者さんの考えが整理されて、緊張していてもメモを医師に見せることで誤解なくコミュニケーションが取れます。
文章で表現できる部分をメモで伝え、主観的な訴えを患者さん自身の言葉で伝えるという使い分けも有効かもしれません。
②何を伝えるべきか迷うときは看護師に相談
患者さんによっては医師に伝えたいことがあっても、何をどのようにして伝えるべきか迷ってしまう方もいるかもしれません。そのような場合には、看護師が支援して適切なメモ作りをしていきましょう。患者さんと一緒に、下記の項目のようなメモを作っていきます。
・どのような症状がいつから出たか?
・どのようなことを不安に思っているか?
・困っていることは何か?
・先生にどのようなことを聞きたいか?
一度作成したメモも時間が経ってから見返すと、微妙にニュアンスがちがっていることもあります。時間をおいてから、患者さんにメモの内容に間違いはないか確認してみると、よりよいでしょう。
③最終的な意思決定は患者自身で行うと再確認してもらう
医師は病気と共に闘っていくパートナーですが、あくまで最終的な意思決定をするのは患者自身です。そのため、自分で最終的な意思決定をしていくという認識を患者さんは持たなければなりません。もちろん、医療に関する知識は医師の方が圧倒的に豊富でしょう。しかし、患者さんの価値観や大切にしていること、あるいはやりたくないことを一番理解しているのは患者さん本人です。
それを実現するためにパートナーである医師に協力してもらう、というスタンスをもつと伝えたいことがうまく伝えられるでしょう。
看護師が患者さんの意思決定を支える「アドボカシー」
看護師が患者さんの意思決定を支え、権利を守ることを「アドボカシー」と言います。患者さんが適切な意思決定を行うには、入院治療に対する十分な理解が必要です。
そのため、看護師は患者さんや家族が知りたがっている情報を提供したり、主体的に情報収集に臨めるように働きかけたりする必要があります。
患者さんのアドボカシーを高めることで、看護師が板挟みになってしまう機会は減るのではないでしょうか。看護師だけでなく、医療チーム全体で患者さんの意思決定を支えられると、より効果的です。
まとめ
今回は患者さんと医師の板挟みにならないための対応についてご紹介しました。患者さんも医師も一所懸命に治療に取り組むからこそ、意見の相違が生まれるのかもしれません。お互いのコミュニケーションがうまくいくように支援していきたいですね。
人間関係のトラブルは努力で改善する場合もありますが、どうにもならない場合には転職を検討した方が賢明なケースも多々あります。
人間関係のトラブルには相性もありますので、うまくいかない人とは諦めて、自分自身の看護に集中するのがよいかもしれません。転職先をお探しの際は、ぜひ転職コーディネーターにご相談ください。あなたの希望に沿った転職先を紹介してくれますよ。