今って転職のタイミングですか?
看護師8年目、31歳女性、手術室勤務
新人の頃から手術室で勤務してきました。希望通りの配属ではなかったのですが、今は手術室の勤務もやりがいを感じ、日々頑張っています。
一方で、30歳を過ぎ一度は看護師としての視野を広げるために病棟での勤務も経験したいと思っています。
ここ数年、何度か異動希望を出していますが、退職者が多く出ることなどを理由に異動は実現していません。上司からも「今年は我慢してください」の一点張りで、実現は先になりそうな印象を受けます。
病棟への異動が叶わないのであればと思い、転職を考えはじめました。そこで、世間は新型コロナウィルスが蔓延していますが、今は転職のタイミングなのでしょうか。また、転職活動に新型コロナウィルスは影響していますか?教えてください。
手術室は求められるスキルが特殊で、一人前になるまでに時間がかかるといわれている部署です。そのため、今の病院は8年間かけて成長した相談者さんをなかなか手放せないのでしょう。
しかし、そういった病院側の事情を加味したとしても、看護師として成長したいという相談者さんの希望は叶えられるべきです。
新型コロナウィルスの流行による医療環境の変化は、メディアでも日々大きく取り上げられていますよね。相談内容にもあるように、転職活動においても無視できないものになってきています。
そこで今回は新型コロナウィルスが転職に与えている影響から、今が転職に適した時期なのかどうかについて解説していきます。
新型コロナウィルスと転職活動
転職には相談者さんのように新しい領域を学ぶための転職や、給与の向上などさまざまな目的があります。
新型コロナウィルスの蔓延は、これらを目的とした看護師の転職活動にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
新しい領域を学ぶための転職
看護師を取り巻く就職事情として、慢性的な看護師不足を抱えている病院は多くあります。そのため、看護師は長い間「資格があればどこでも働ける」といわれ、売り手市場が続いてきました。そういったなか、新型コロナウィルスの影響で、日々の労働が激務になったことで看護師の退職者が増えています。また、幼稚園や保育園の休園が相次ぎ休職を余儀なくされた看護師も続出している状況です。
そのため、新型コロナウィルスが流行している現在も看護師の売り手市場は続いています。
しかし「じゃあ転職には有利な時期だ!」とはなりません。それは、相談者さんのように新しい領域を学びたいと思っている看護師の方には、今の状況が必ずしも当てはまらないからです。
というのも、新型コロナウィルスで人手不足に陥っているのは、主に患者が治療する病棟である場合がほとんどで、採用する側は「即戦力」になる看護師を求めています。
相談者さんのように病棟で1から看護を学びたい方は、新しい看護についての教育が不可欠です。そのため、病院側の求める人材とマッチしない事態も考えられるでしょう。
仮に採用されたとしても、新型コロナウィルスへの対応などで慌ただしく余裕のない病院では、満足のいく教育が受けられない可能性が高くなります。本来の希望とはかけ離れた転職となっては元も子もありませんよね。
給与向上ための転職
ニュースなどで「医療崩壊」といった言葉を見たり聞いたりしたことはないでしょうか。新型コロナウィルスの流行は、外来患者の減少や人間ドックの減少、感染者の病床確保などによって、病院の経営状況に悪影響を及ぼしています。
それによって医療の提供が困難になる「医療崩壊」が懸念されているのが現状です。
また、新型コロナウィルスの患者を受け入れた病院の4割超がボーナスを減らしたという調査結果も出ています。
引用:新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急要請書(第6次案)(日本医療労働組合連合会)
看護師確保のために、給与を上げて募集している病院もあります。しかし、新型コロナウィルス流行中のみの採用だったり、流行が終われば通常の給与に戻るものだったりと、一過性の募集である場合が多いのです。
特定の病院に勤務しておらず、短期間で集中して稼ぎたい人にとってはいいかもしれませんが、一時的かつ激務なので対象となる人は限られます。
そのため、将来を見据えた長期的な給与向上を目指すといった点においては、新型コロナウィルスは転職に良い影響を与えているとはいえないでしょう。
今は転職に適した時期なのか
結論からいうと、新型コロナウィルスの流行は転職活動の追い風にはなっていません。
流行にともなって看護師の求人募集は増加していますが、その多くが新型コロナウィルスによって影響を受けた施設からの求人が多く見受けられるからです。
もちろん、看護師募集の求人には新型コロナウィルスの関係ないものも多くありますし、なかには相談者さんの希望に沿った求人もあるでしょう。
相談者さんの場合、新しい領域で看護師として成長するための転職ですよね。そのため、転職先の候補としてあがった病院が、自分の希望に沿ったものであるかの見極めが新型コロナウィルス流行前よりも求められています。
転職活動の目指すゴールは「就職できた」ことだけではなく「転職してよかった」と思えることも重要です。
「こちらの希望とは違った」「思っていた教育が受けられない」といった状況では、転職活動が成功したとはいえませんよね。
転職を考える際には、新型コロナウィルスの流行がリアルタイムでどのように看護師を取り巻く環境に作用し、病院の雇用に影響しているのかを把握する必要があります。
まとめ
看護師が転職先を見つけ就職することは依然として難しくはありません。しかし、希望の配属先や給与の厚遇を望むことは難しくなっています。
このことからも、新型コロナウィルスの流行は、看護師の転職活動に少なからず影響を及ぼしていることがわかります。
転職を考える際には「自分がどういった目的で転職するのか」「転職先の病院で自分の望んだ待遇が受けられるのか」といったことをしっかりと見極め、転職先を選択することが重要です。
転職するタイミングに迷ったら、ぜひ転職エージェントをご活用ください。専門のコーディネーターがあなたにとって適切な転職時期と転職先を紹介してくれますよ。