毎日のルーティン業務にやりがいを見出せません
3年目看護師、20代女性、回復期リハビリ病棟勤務
看護師として働きはじめて3年目になりました。病棟の業務は一通り覚え、処置や疾患についての勉強も勤務していて困らない程度には身についてきたと思っています。後輩も増えてきて、そろそろ指導する立場にもなりそうです。
仕事に慣れてきた半面、毎日がルーティン業務の繰り返しのように感じます。患者さんの入退院が少ない病棟でもあり、決まった時間に決まった業務をする毎日です。
負担は少なく済んでいますが、イマイチやりがいを見出せずにいます。どのような心構えで仕事に臨むべきなのでしょうか。
仕事に慣れてくると、どうしても新人時代の緊張感は失われてしまうものですよね。それは成長の証でもありますが、やりがいを見出せないルーティン業務を続けることは困難です。
では、ルーティン業務に慣れてしまった職場で働き続けることはできないのでしょうか。いいえ、決してそのようなことはありません。
今回は仕事に慣れてきて、ルーティン業務にやりがいを見出せなくなったときの対策について説明していきます。
自分自身が何にやりがいを感じるか見直してみる
まずは、あなた自身が看護師の仕事のどのような部分に、やりがいを強く感じるかを見直すことからはじめてみましょう。同じ看護師の仕事をしていても、何にやりがいを感じるかは人それぞれです。
患者さんとコミュニケーションをとる時間にやりがいを感じる看護師がいれば、リーダー業務で病棟全体を調整することにやりがいを感じる看護師もいます。
毎日の業務内容を細かく思い返してみてください。あなたはどのような業務で積極的な態度になれるでしょうか。「退屈だ…」と感じる業務もあれば「この時間は楽しい」と思える業務もあるのではないでしょうか。
あなた自身がルーティン業務のどの部分に不満を感じ、逆にどの部分はやりがいを見出せるか「自己分析」が大切です。自己分析が進むだけでも、グッと気持ちが楽になってきますよ。
「同じような日常を支える」のも看護師の役割のひとつ
次に、同じような内容のルーティン業務が続くことは、患者さんにとってどのような意味があるかを考えてみましょう。
たとえば、疾患が慢性期にある患者さんであれば、症状に変化がなく穏やかな一日を過ごすことが目標となる場合があります。「同じような日常を支える」ことが看護師の役割のひとつなのです。
些細な変化に気がつける観察力も重要
また、看護師にとっては同じようなルーティン業務であっても、患者さんには些細な変化が現れていることもあります。たとえば、食事ひとつとってみても、毎食まったく同じということはあり得ません。食事摂取量、食べるペース、嚥下状態、表情、会話などを細かく観察することで、患者さんの些細な変化に気がつけます。
いつもはあっという間に食事を摂取する患者さんが、時間をかけて食事摂取をしていた場合、体調変化のサインかもしれません。
些細な変化に気がつけるようになることで、より深い看護につながります。このような観察力を意識すると、ルーティン業務にもやりがいを見出せるのではないでしょうか。
同じルーティン業務でも患者さんにより個別性を見出せないか考える
同じルーティン業務でも、患者さんの個別性を反映させることは可能です。清拭ひとつとってみても、患者さんにとって安楽な体位、自立支援、身体症状のケアなどを考えると、工夫の余地がありますよね。
毎日のケアに個別性を見出すポイントを説明します。
患者さんの医学的背景を反映したケア
患者さんによって、抱える疾患や治療内容は異なります。さらに、同じ診断名であっても、出現している症状や程度も人それぞれです。患者さん毎に異なる医学的背景をケアに反映させることで、看護師としてのやりがいを見出せるかもしれません。毎日の清潔ケアに加えて、浮腫が出現している患者さんに対して、足浴を行う。これだけでも、患者さんの苦痛緩和につながるものです。
ルーティン業務+αで個別性を見出せないか、アセスメントしてみましょう。
退院後の生活を見据えた支援
退院が近づいている患者さんには、退院後の生活を見据えた自立支援が必要です。患者さん本人やご家族とコミュニケーションをとり、どのような在宅生活をイメージしているか傾聴してみましょう。自宅に帰ると看護師をはじめとした医療者はいませんので、セルフケアが必要です。ところが、患者さんによって家族構成やマンパワー、医療に関する知識は異なります。また、価値観も人それぞれですので、どこまで健康を重視した生活にできるかも把握が必要です。
一般的な退院指導に加えて、患者さんやご家族にとって、実現可能でQOLを向上できる生活を突き詰めて考えるのは、やりがいがありますよ。
カンファレンスを通して多角的に患者さんを捉える
ルーティン業務の提供を、ほかの看護師がどのような視点で行っているか、カンファレンスで共有するのも有効です。患者さんに対するアセスメントは、看護師によって異なる場合があります。あなたが知らなかった患者さんの思いや訴えをカンファレンスで共有することで、より個別性のあるケアを提供できるようになりますよ。
ほかの看護師の仕事のやり方を観察してみる
ほかの看護師が毎日のルーティン業務に対し、どのように取り組んでいるのか観察してみるのもいいかもしれません。あるいは、話しやすい同僚などに、正直にどのような思いで業務にあたっているのか聞いてみるのもおすすめです。
過去の勤務経験は看護師により異なりますので、経験則から患者さんを見る視点や業務に対する考え方は千差万別です。もしかすると、これまであなたが考えたこともなかった視点が見つかるかもしれません。
まとめ
今回は、ルーティン業務にやりがいを見出せなくなったときの考え方について説明しました。変化を好む看護師にとって、ルーティン業務にやりがいを見出せなくなることもあるでしょう。さまざまな視点で、業務や患者さんを捉えなおしてみるといいかもしれませんよ。
もし、どうしても変化の少ない毎日が苦痛であれば、転職によって環境をガラッと変えてみましょう。新しい職場、業務内容、人間関係で気持ちを入れ替えるのも選択肢のひとつです。
職場によっては入退院が多く、毎日のように異なる疾患や処置を経験できるかもしれません。仕事のやりがいを見出すために、まずは複数の転職コーディネーターに相談して、あなたのキャリアプランを見直してみませんか。