患者さんからの質問にうまく答えられません
20代女性、糖尿病内科勤務
糖尿病内科に勤務しています。患者さんに対して生活指導や入院生活について説明する場面が多いです。説明の中で患者さんから質問をされることがあるのですが、いつもうまく答えることができずにいます。
結局、先輩看護師や医師から説明してもらって対応しており、患者さんにもほかのスタッフにも申し訳なく思います。
どうすれば患者さんからの質問にうまく答えられるのでしょうか。
患者さんからの質問に答えるのは看護師として大切な役割のひとつです。ですから、うまく対応できるようになりたいですよね。
まず、なぜ質問への対応がうまくいかないのか、原因を考えることが大切です。そして原因に合わせて対策をしていけば、必ず質問への対応は上達していきますよ。
今回は患者さんからの質問への対応について説明します。ぜひ、参考にしてみてください。
患者さんからの質問に答えられない3つのパターン
患者さんからの質問に答えられないとき、次の3つのパターンのいずれかに当てはまることが多いです。
①知らないことを質問される
②答えたいのにどのように伝えるべきかわからない
③患者さんが何を質問しているのか十分に理解できない
あなた自身が職場で経験した場面を振り返り、どのパターンが当てはまるか考えることからはじめると良いですよ。
①知らないことを質問される
知識が足りず、質問に答えることができないパターンです。患者さんによっては、少しマニアックな質問をしてきたりすることがありますよね。このパターンは、仕事に慣れておらず、まだ知識が十分でない若手看護師に多いかもしれません。もちろん、経験豊富な看護師であっても知らないことは必ずあります。
知らないからといって不確実なことを伝えたり、「わかりません」で済ませたりするのはNGです。質問に答えられなかった後の対応が大切であると覚えておきましょう。
②答えたいのにどのように伝えるべきかわからない
質問に答えるのに十分な知識はあるのに、どのように伝えるのが適切かわからないパターンです。たとえば、退院後の生活についての質問があり、一般的な回答はできるものの患者さんの個別性を考えると、どのような回答をすべきか迷う場面がありますよね。一般的な知識を提供するだけでは、患者さんの個別性に対応しきれないこともあります。ですので、いつも頭の中で「本当にこれで伝わるかな?」と考えて、立ち止まるクセをつけると良いかもしれません。
③患者さんが何を質問しているのか十分に理解できない
患者さんの訴えを十分に理解できず、どのように回答すべきかわからないパターンです。非医療者である患者さんにとって、たとえ自身のことであっても病気や治療について十分に理解するのは難しいかもしれません。また看護師も、患者さんの訴えを十分に傾聴する時間が取れないのも原因のひとつです。「じっくりと話す時間さえ取れたら…」と思っている看護師も多いかもしれませんね。
パターンに合わせて対処方法を考えてみよう
患者さんからの質問に答えられない原因となるパターンをご紹介しました。次はそれぞれのパターンに合わせた対処方法をご紹介しますので、参考にしてみてください。
「わかりません」と伝えて、その後のフォローを丁寧に行う
知識が足りず、その場で質問に答えられない場合には、「わかりません」とはっきり伝えましょう。あいまいな知識で回答するよりも、後でしっかりと調べてわかりやすく伝える方が患者さんにとってメリットが大きくなります。また質問を受けたからといって、必ずしも看護師自身で回答する必要はありません。場合によっては医師やほかの専門職からの説明の方が、患者さんのためになることも考えられます。
大切なのは患者さんが良い方向に向かうことです。自分自身がその場でうまく回答できなくても、その後のフォローの方が大切であると考えていきましょう。
カンファレンスで患者さんの個別性について検討する
一般的な知識を用いた回答はできるものの、個別性を深める必要がある場合はカンファレンスを活用するのが良いかもしれません。自分一人だけで患者さんの個別性を考えるよりも、ほかのスタッフの意見を参考により良い対応を考えていきましょう。
医療スタッフにはそれぞれ異なる考え方があり、現場での経験もさまざまです。カンファレンスを通して、患者さんにより良いアドバイスができるように考えていけると良いですね。
文字や図を活用して患者さんの理解を深める
患者さんの訴えを十分に理解できないときには、文字や図を活用して互いに理解を深め合うのが有効です。「時間がかかりすぎるよ」と思うかもしれませんが、丁寧に理解を深めていく方が、何度も聞き返す必要がなくかえって時間の節約になることもあります。自分自身の説明が相手に伝わっているか不安なときにも、文字や図の活用は有効です。口頭での説明だけでなく、さまざまな選択肢をもつことで説明への苦手意識も減っていきますよ。
大切なのは患者さんからの信頼を損ねず、適切な回答をすること
患者さんからの質問に答えられないときに考えられるパターンの、それぞれの対処方法をご紹介しました。すべての場面で共通して意識すべきは、患者さんからの信頼を損ねず、適切な回答をすることです。
質問をされたその場で、すぐに回答できなくても気にする必要はありません。時間がかかっても、丁寧な対応で患者さんにとって良い回答ができるようにしましょう。
看護師としてキャリアを重ねていくと、知識や経験も積み重なって、質問への対応も上手になっていきますよ。
まとめ
今回は患者さんからの質問にうまく答えられない場合の原因と対処方法について説明しました。看護師は患者さんとのコミュニケーションの機会が多い職業ですので、より良い対応を常に考えていきたいですね。
仕事に行き詰まりを感じた場合、転職を検討するのもひとつの選択肢です。看護師も一人の人間ですので、どうしても向き不向きがあります。患者さんとのコミュニケーションに苦手意識をもつ看護師も珍しくありません。
自分自身の適性はなかなか客観視できないものです。転職のプロであるコーディネーターから客観的な意見を聞いてみませんか。ぜひ、お気軽にご相談ください。