精神科の患者さんに偏見を持ってしまう
3年目看護師、病棟勤務、精神科の患者さんに優しい気持ちで看護ができない
精神科の患者さんは、暴力を振るったり大声で叫んだりすることもあるため、学生から看護師になった今でも怖いという思いがあり、偏見も持ってしまいます。
そのため、なるべく受け持ちもしたくないとも思います。他の病気の患者さんには優しい気持ちで看護ができるのに、どうしても精神科の患者さんには優しい気持ちで看護ができません。周りを見ても、私と同じような気持ちの人は少ないように思います。
先輩に相談すると、「共感と受容が大切だよ。」と言われました。教科書に載っていたことだなと思い、教科書を読んでみましたが、あまりぴんときませんでした。どうすればいいのか、具体的な方法もよく分かりません。私は看護師に向いていないのでしょうか?
精神科の病気は分かりにくい!でも実は他の病気と一緒
精神科の病気は、見て分かる傷などと違うため、とても分かりにくく難しいイメージがあると思います。そして、よく報道では、精神科の病気の人が事件を起こす度に大きく取り上げ、その人の精神科の病気をよく分かっていないのに、なぜかとても怖くて、とても悪いことのように報道している時があります。
看護師でも、精神科の病気のことをよく理解できていないまま、報道されているイメージが強くなってしまい、精神科の患者さんに偏見を持ってしまうこともあると思います。
しかし、精神科の患者さんは、病気になりたくてなったわけではありませんし、特別なものでも、怖いものでもありません。
例えば、食生活の偏りが続くと糖尿病になったりしますよね?同じように、誰かと死別し、誰もが感じる悲しみという感情が長い期間続くと、うつ病になってしまう可能性があります。
精神科の病気は、誰もがなりうる身近な病気なのです。分かりにくく、見えにくいという特徴はありますが、基本的には他の病気となんら変わりはないのです。
病気の原因を探ると見える!患者さんの本当の姿
私たち看護師は、まず病気の原因を確認したり考えたりします。精神科の患者さんは、他の病気の方には見られないような発言や行動があるため、つい驚いたり構えたりしてしまいます。
しかし、そんな時こそ他の病気と同じように、冷静に原因を確認したり考えたりしてみましょう。
私が今まで関わった精神科の患者さんの病気の原因には、様々なものがありました。幼い頃に親が離婚し、新しい父親と馴染めずに統合失調症になった方。医師として過密スケジュールの中ずっと働き続け、定年後にうつ病になった方。どちらもとても印象に残っています。
自分が、もし患者さんと同じ境遇だったら、私も同じように病気になるかもしれないと思いました。そして、精神科の患者さんをとても身近に感じました。
精神科の患者さんを、特別な怖い存在ではなく身近な存在として感じられてからは、患者さんを見た時に、「困った人だな。怖い人だな。」ではなく、「この人は苦しんでいるんだな。」と思えるようになり、自然にどう援助すればいいのかを考えるようになっていました。
また、患者さんの姿が、今までとは全く違って見えてきたのです。
患者さんの困った行動や怖いと思っていた行動が、病気に伴う症状からだけでなく、患者さんが病気になる前に元々持っていた性格や生活習慣も関係しているということが、だんだんと分かるようになってきたのです。その時、これが本当の患者さんの姿だったんだなと思いました。
その人の「今の姿」だけを見るのではなく、病気になった原因を探り、その人の「病気になる前の姿」を見てみると、精神科の患者さんの見方が少し変わってくるかもしれません。
今、あなたの目の前にいる精神科の患者さんの姿は、あなたが作り出している姿ではなく、本当の患者さんの姿ですか?
ありのままの自分を認めることは、患者さんを認めること
精神科の患者さんの本当の姿が分かっても、患者さんに叩かれたり、患者さんが思うように行動してくれないことがあります。そうすると、「やっぱり怖いな。」とか「なんでこうしてくれないの?」と思ってしまうこともあります。
看護師も一人の人間です。様々な感情や価値観があるのは当たり前のことです。精神科の患者さんに偏見を持ったとしても、決して「私は看護師の仕事に向いていない」などとは思わないで下さい。そして、自分が感じた様々な感情をごまかさないでください。
自分の感情をごまかしながら患者さんと向き合うのは、とても疲れます。患者さんも、自分の感情をごまかし無理をしている看護師の姿を見ると、その看護師の感情を敏感に感じ取ります。自分の感情をごまかすのではなく、その時の感情をそのまま素直に感じるというスタンスで大丈夫です。
精神科の患者さんに対して偏見を持っても、怖いと思っても、少し冷静になれる時間は必ずあると思います。冷静になれたときに、なぜ自分がそのような感情になったのかをゆっくり思い出してみましょう。患者さんの言葉や行動を冷静に分析できますし、自分の感情や価値観の振り返りにもなると思います。
精神科の看護では、「共感する・受容する」というキーワードがよく出てきます。看護を勉強した方なら、どこかで目にしたことがあるのではないかと思います。
有名なキーワードですが、私もとても難しい言葉だと思っています。簡単にすると、「自分自身の感情や価値観に囚われずに、患者さんと同じ感情や価値観を持ちながら援助していこう」ということなのかなと私は思っていますが、簡単にしてみてもなんだか難しいですね。
また、「共感する・受容する」が大切だと分かっていても、いざ患者さんを目の前にすると、「共感する・受容する」ということは簡単に行えるものではありません。
じゃあどうすればいいの?と思う方もいると思いますが、まずは「自分の感情や価値観を知り、素直に認めること」これに尽きると思います。
まとめ
自分を知って自分を認めることは、他人を知って他人を認める準備であると思うのです。自分を認められない人は、他人を認めるのは難しいでしょう。
「精神科の患者さんに偏見を持ってしまう」と思っている人は、自分に正直で、自分の気持ちをよく理解できている人なのだと思います。
患者さんに共感し、患者さんを受容する準備は、もうできているのかもしれません。精神科の患者さんに共感し、受容もしながら援助をしている、すごい先輩や師長さんだって、初めは同じように準備をしてきたことでしょう。
もし、自分は看護師に向いていないかもしれないと悩んだら、転職エージェントにご相談ください。第三者に話すことで、悩みを客観的に見られるようになるかもしれません。
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