看護師は介護士よりも高レベルの訓練を受けていますよね?
11年目看護師、介護施設勤務、看護師の存在意義がわからなくなる
介護施設で勤務していて看護師の存在意義がわからなくなることがあります。
たくさん勉強して看護師になったのに今は介護士と似た内容の業務ばかりです。
介護の仕事が嫌だというわけではありませんが、看護師として能力を発揮したい気持ちが日々強くなります。
介護士から「看護師なのに介護ばかりですね」と言われることもあり耐えられません。
看護師は介護士よりも高レベルの訓練を受けているはずですよね。
努力に見合った内容の業務が割り当てられるべきではないでしょうか。
看護師は医療職の中でも特に業務範囲が広い職業です。
保助看法第5条では看護師の業務は「療養上の世話」と「診療の補助」と大別されています。
しかし、実際のところ職場によっては他職種と似た業務をすることもあるでしょう。
看護師として勉強してきたことと直接関係がない業務が多くなると、不満に思う気持ちもありますよね。
看護師と介護士の違いや同じ内容の業務に対する向き合い方を説明していきます。
資格取得方法の違い
介護士は正式名称「介護福祉士」であり、看護師同様の国家資格です。
資格取得方法の違いを説明します。
介護福祉士の資格取得には国家試験での合格が必要となります。
国家試験を受験するための方法は大きく分けて以下の2通りです。
①介護福祉士養成施設での単位取得・卒業
②実務経験3年以上あるいは従事日数540日以上を積んだ上で特定の研修を受講
資格取得を目的に来日した外国人も、実務経験を積むことで国家試験を受験できます。
①の介護福祉士養成施設で資格を取得しようとする場合、看護師の資格を取得に比べて必要な時間は短いです。
また准看護師として実務経験がある場合でも、看護師免許を取得するには2年間の学習し国家試験に合格しなければなりません。
そのため、資格取得のために必要な時間や労力は看護師の方が多いといえます。
業務内容の違い
看護師と介護士の業務内容はざっくりと以下のような違いがあります。
看護師の業務
患者さんが医師の診察、治療を受けるサポート、療養上の看護問題に対するケアを行います。具体的にはバイタルサイン測定、点滴、採血、食事介助、清潔介助、排泄介助、移動介助、生活指導などです。
直接介入するだけでなく日々の観察を通してアセスメントし、看護計画を立案していきます。
介護士の業務
要介護者さんの身の回りのお世話、生活のサポート、メンタルケアを行います。具体的には食事介助、清潔介助、排泄介助、移動介助、家族への介護指導などです。
必要に応じて一部の医療行為を行うことが認められています。
このように業務内容の違いだけでなく共通点もあることがわかります。
同じ内容の業務でも看護師の視点を持つ
介護施設などで勤務していると看護師と介護士が同じ内容の業務をすることがあります。
同じ内容の業務をする場合でも看護師は医学的視点でのアセスメントを心がけましょう。
なぜなら、医学的視点を持つ看護師が患者さんや要介護者さんの身の回りのサポートをすれば、異常の早期発見・早期介入ができるからです。
例えば、入浴介助の場面で皮膚の異常を発見したり、食事介助の場面で嚥下状態のアセスメントをしたりできるのは、看護師ならではの強みと言えます。
介護士と同じ内容の身体介助をどのような意識で行うかによって、看護師の存在意義は変わってくるのです。
看護師と介護士が互いに不満を持つ職場も
残念ながら看護師と介護士が互いに不満を持ち対立している職場もあります。
医療者間での対立の中でも看護師と介護士の対立は最も多いかもしれません。
対立の原因はさまざまです。
看護師が介護士を見下して威圧的な態度を取る、介護士が似た業務内容の看護師の方が高給取りであることに不満を持ち嫌がらせする、などが多いのではないでしょうか。
本来は別の職業であり業務内容も区別されるべきですが、実際は看護師と介護士が同じ内容の業務を行うことがあるため、このような対立が起こりやすいと考えられます。
立場の違いがあるだけで職業に貴賤はない
「職業に貴賎なし」という言葉をご存じでしょうか。
どのような職業も社会に必要とされているからこそ存在し上下関係はない、という意味です。看護師と介護士の関係においても同様に考えなければなりません。
看護師は医療面での強みを持つ職業です。
医療的な視点を持ちながら幅広く生活援助を行います。
立場上、介護士に指示を出す場面もありますがあくまで業務の必要性に過ぎません。
介護士は生活面での強みを持つ職業です。
生活に寄り添い、より近い目線での生活援助や介護指導を行います。
要介護者さんの生活を最も知りニーズを把握しやすい職業です。
このような立場の違いはありますが、上下関係はありません。
お互いが尊重し合い情報共有することでスムーズに業務を進めることができるのです。
患者さん中心のチーム医療の一員であることを意識する
看護師も介護士も患者さんを中心とするチーム医療の一員であることを意識しましょう。
患者さんや要介護者さんがより良い状態になることを目的として業務に臨めば、職業による違いは気にならないでしょう。
互いに異なる専門職種として尊重し合うことがチーム医療の土台となります。
風通しの良いコミュニケーションは欠かせません。
看護師と介護士が対立して業務がスムーズにいかなくなることで被害を受けるのは患者さんや要介護者さんです。
チーム医療の力を発揮するポイントの一つが職種で異なる「世界観」を学ぶことです。
同じ人間を相手に似たような内容の業務をしていても職種が異なれば違う視点があります。
それは看護師と介護士に限らず全ての医療職に言えることです。
例えば、医師は診断・治療の専門家であり身体所見から病気の兆候を読み取ります。
理学療法士はリハビリのプロとして自立した日常生活を送るために必要な支援を考えます。
このようにそれぞれの専門職が独自の視点で支援を行うことで多角的な支援を行えるのがチーム医療の強みです。
ぜひ看護師であることを意識し、看護師ならではの視点で患者さんや利用者さんと関わってみてはいかがでしょうか。
もし、今の職場では自分のやりたい看護ができないと感じたときは、看護師エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。専門のコーディネーターが面談を通して、あなたのキャリアプランに最適なアドバイスをしてくれますよ。ぜひお気軽に問い合わせてみてください。