男性看護師です。育休を1年取りたいけど職場がそんな雰囲気じゃない
30代男性、外科病棟勤務
結婚5年目にして初めての子どもを授かることができました。
とても嬉しいのですが同時に育児への不安もあります。
妻は初めての出産・育児であり職場で育児休業を取得予定です。
私も1年間の育児休業を取得したいのですが職場が忙しく言い出すことができません。
職場は結婚・出産を機に退職する方が多く独身者がほとんどです。
やはり男性が育児休業を取得するのは難しいのでしょうか。
奥様のご妊娠おめでとうございます。
育児休業は労働者の正当な権利であり男女問わず取得できなければなりません。
しかし、男性の育児休業取得はとてもハードルが高いのも実情です。
男性看護師は育児休業に対してどのように考えていくべきか説明します。
男性の育児休業取得率は「6.16%」
厚生労働省の調査にて男性の育児休業取得率は「6.16%」だと明らかにされました。
引用:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について(厚生労働省)
この数字は年々増加傾向にあるものの、約8割で推移している女性と比較すると低水準です。
また、育児休業の取得期間は女性の9割が6ヵ月以上であるのに対し男性の半数以上が5日未満、8割以上が1ヵ月未満となっています。
このように、看護師に限らず男性の育児休業取得率は低いことがわかります。
実際に職場で男性が育児休業を取得している場面を見たことがない人がほとんどでしょう。
男性が育児休業を取得した前例が職場にない場合、ますますハードルが高くなることが予想できますね。
男性看護師が育児休業を取得しにくい理由
なぜ男性看護師は育児休業を取得しにくいのでしょうか。
新潟潟青陵大学が男性看護師154名に対して行ったアンケート調査では以下のような理由で育児休業を取得できないと明らかにされました。
・職場の環境や雰囲気
・経済的理由
・仕事多忙
・周囲からの反対
・制度の認識不足
引用:男性看護師の育児休業取得および子育ての実態と促進要因(新潟潟青陵大学)
やはり、あげられるのは職場の雰囲気や仕事多忙といった理由です。
これらの理由は男性に限らず女性看護師でも同様でしょう。
忙しく人手不足に悩む職場であれば正当な理由であっても休業を申請しにくいものですよね。
普段から休みの希望さえ通らない職場であれば育児休業も言い出せません。
男性の育児参加への支援が広がる一方で理解の得られない職場も多数ある
厚生労働省は「イクメンプロジェクト」として男性の育児休業取得促進事業を進めています。
イクメンプロジェクトは男性の育児休業取得促進を図るだけではありません。
働き方の見直しによるワークライフバランスの実現、女性の継続就業率と出生率の向上も目的としています。
具体的な活動として、啓発活動キャンペーンや認定制度、事業主に対しての助成金を行っています。
また、メディアでも男性の育児休業取得に関して取り上げられる場面が増えています。
小泉進次郎環境相が育児休業を取得したことが大きなニュースとなったことは記憶に新しいでしょう。
男性の育児休業“義務化”を目指す声も聞かれます。
世界的にも日本は男性が6ヵ月以上育児休業を取得できる唯一の国として注目されることも。
しかし、実態が伴わない職場も多数存在します。
男性が育児休業を取得しようとすると「出世はあきらめろ」と言われたり、復帰後の待遇が不安であきらめたりするケースがあるようです。
男性の育児参加への支援が広がる一方で、まだまだ現場で恩恵を受けられる男性が少ないのが実態といえます。
法律を正しく知り、正当な権利は主張しなければならない
男性看護師が1年間の育児休業を取得するには法律を正しく知り、正当な権利を主張しなくてはいけません。
繰り返しになりますが育児休業の取得は労働者の正当な権利です。
条件を満たす労働者が育児休業の申請を行った場合、会社はこれを拒むことができません。
育児休業を申請したことによる解雇やその他不利益取り扱いは明確に禁止されています。
まずは正当な権利を主張することから始めましょう。
中には正当な権利を主張しても、なかなか上司が同意してくれない場合もあるかもしれません。
このような場合は以下の2つの方法で対処しましょう。
①法律で権利が認められていることを説明
職場の上司が育児休業に関する法律を正しく理解できていない場合もあります。まずは説明の上で納得してもらえるように試みてみましょう。
万が一、法律の説明をしても納得してもらえない場合、労働基準監督署へ違反行為を報告するという方法もあります。
円満に育児休業を取得することが望ましいので万が一の手段として頭の片隅にでも入れておきましょう。
②育児休業の申請を書面で通知する
上司に相談しようとしても「今忙しいから時間があるときに…」などとはぐらかされてしまう場合もあるでしょう。明確に拒否しているわけではありませんので違反行為ではないかもしれません。
このような場合には書面にして職場に通知する手段を取りましょう。
書面で通知すれば無視することもできず育児休業の取得が認められる場合が多いです。
また、後々もめたときにも証拠となる書面があると有利になります。
男性看護師が育児休業を取りやすい雰囲気を作るポイント
男性看護師が育児休業を取りやすい雰囲気を作るポイントは「事前の根回し」です。
根回しという言葉にあまり良くない印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし、話しやすいスタッフにそれとなく育児休業の意向を伝えておく、自分の担当業務を休業中にどのように対応するかなど、事前に準備しておくことは大切です。
周囲の理解、休業中の業務への配慮などの準備を進めておきましょう。
働きやすい職場づくりは育児休業取得を促進し離職率を下げる
看護師の離職理由で最も多いのが「出産・育児のため」です。
引用:看護職員の現状と推移(厚生労働省)
多忙な職場で育児を並行するのは難しいと考える方もいるのでしょう。
男性看護師が育児休業を積極的に取得することで職場に正当な権利が主張しやすい雰囲気が生まれます。
男性だけでなく女性看護師の中にも育児休業の取得を申請しにくいと思っている方もいるでしょう。
安心して育児に取り組める雰囲気が職場に生まれることで離職率が下がる効果も期待できます。
ぜひ積極的に育児休業の取得を申請し、職場の雰囲気を変えていきましょう。
もし、今の職場で育児休業が取りづらい場合は、転職するのも一つの手です。転職エージェントなら、男性でも育児休業が取りやすい職場を紹介してくれますよ。ぜひ、お気軽に相談してみてください。