学校の授業や実習で習ったことと現場でやっていることが違う
20代女性、消化器内科勤務
就職して1年目の看護師です。日々の業務で行う処置が学校の授業や実習でならったものと異なることがあり困惑しています。使用する物品が異なることは理解できるのですが、手順まで異なるのは理解できません。
先輩に聞いてみたものの「学校と現場は違うの。そういうものだと考えて!」と言われました。ただの雑用であればやり方にこだわらないのですが、患者への処置は適切な手順でないと危害を加えてしまう恐れがあるため怖くて行えません。
私は自分のやり方を押し通すべきなのでしょうか、それとも先輩から言われるやり方に従うべきなのでしょうか。
看護学校で習ったことと現場でのやり方に違いがあると迷いますよね。先輩の指導を無視するわけにはいかないし、だからと言って学校で習ったやり方と違ってもいいのかと悩む新人看護師は多いです。
たしかに学校と現場は違います。学校で習わなかったり、現場独自のルールもあったりするので「これが正しい!」と一概に言うことは難しいです。どのように対応していくべきかを説明しますので参考にしてみてください。
大切なのはエビデンス
原則として最優先すべきは「エビデンス」です。学校で習うやり方、現場でのやり方のエビデンス部分に注目してみましょう。処置の手順や準備物品にはそれぞれエビデンスがあり、最も効率的かつ患者に負担が少ない方法が採用されています。
たとえば、採血であれば穿刺する血管、観察点、消毒などは明確なエビデンスがあり守らなければなりません。しかし、使用物品の種類に関してのエビデンスはない場合があり、駆血帯の種類や真空管の使用の有無などは臨機応変に選ばれます。
つまり、学校で習ったことや現場のやり方で必ず守らなければならないのは、エビデンスがあり、効率や安全に関係する部分です。エビデンスが無い、あるいは弱い部分は状況に応じてやり方を変えていきましょう。
迷ったら現場の意見に従うのがベター
エビデンスを最優先に考えていても、学校で習ったことと現場のやり方の違いに迷う場面はありますよね。そのような場合は現場の意見に従うのがベターではないでしょうか。なぜなら、先輩や上司には新人看護師にはない知識や経験があり、エビデンスにはないが現場に則したやり方をしていることが多いからです。
また、人間関係も大切にすべき要素です。自分のやり方を押し通そうとする態度は一緒に働く看護師からよく思われません。「先輩や上司にしっぽを振るために仕事をしているわけではない」と思う方もいるかもしれませんが、看護師の仕事にチームワークは大切です。チームワークが乱れてしまえば仕事はうまく回らなくなり被害を受けるのは患者さんですよね。
だからと言って盲目的に現場の意見に従うのではなく、なぜそのやり方を採用しているのかを確認することも大切です。タイミングを見計らって先輩や上司に仕事のやり方の根拠を聞いてみましょう。今までになかった視点を教えてもらえるかもしれませんよ。
患者の特徴にも柔軟に対応する
患者の特徴に合わせてやり方を変えることも大切です。性別・年齢・疾患・治療・基礎体力・性格・考え方は患者により異なります。そのため、同じ処置でも患者によっては手順や使用物品を工夫する必要があるでしょう。
たとえば、とても体が大きい患者のADL介助は本来1人でやるとされていても、看護師複数人で対応する場合があります。また、患者がこだわりの強い性格の場合も対応を考えなければなりません。患者の安全を確保できる範囲であれば、あえて効率にこだわらないのもひとつの方法です。
患者の特徴に合わせる場合も優先すべきはエビデンスです。患者の安全・安楽を確保しつつ、できる限りニーズを満たせるやり方を探っていきましょう。自分だけでやり方を決めるのではなく、カンファレンスを開いてほかの看護師の意見も聞いてみるのも良い方法ですよ。
明らかに間違ったor非効率的なやり方が現場で行われている場合
現場のやり方が明らかに間違っている、あるいは非効率的である場合も少なからずあります。古いやり方が更新されていない、エビデンスを根拠にしていない、思い込みがあるなどさまざまな原因が考えられますが、この場合はやり方を変えなければなりません。
ここで問題となるのは、いかに現場のやり方を変えていくかです。繰り返しになりますが、看護師は業務効率やエビデンスだけでなくチームワークも考える必要があります。間違ったやり方を直接的に論破するような口調で指摘してしまうと、人間関係が悪くなってしまうかもしれません。
まずは主任や師長に間違っていると考えられるやり方を根拠と一緒に意見として伝えてみましょう。現場のやり方を変える場合にはマニュアルの改訂や周知といった業務もともないます。
上司の了解を得て、誰がどのように動いて現場のやり方を変えるかを考えておくと人間関係にも配慮できますよ。場合によっては自分自身がマニュアル改定作業などを担当することも頭に入れておくとよいかもしれません。
看護技術は日々更新されているため勉強を欠かさない
看護技術は日々研究されて毎年のように更新されていきます。あなたが学校や現場で教わったやり方も古くなってしまうことを常に意識しなければなりません。定期的に外部の研修に参加したり、最新の本や動画で確認したりするといいですよ。
常に最新エビデンスを求めて勉強することは自分が教える側の立場になったときにも役に立ちます。後輩の指導をする際に、「学校で習ったから」「現場でやっているから」といった理由を説明しても、あまり説得力がありません。そうではなく、「現在のエビデンスではこのようになっている」と説明すれば説得力が生まれますよね。
また、勉強する習慣を身に着けておけば転職や異動で職場が変わった際にもスムーズに対応できます。言われたままやるだけでなく、自分の頭で「なぜそうするのか?」と常に考えるクセがついていれば応用できますよ。
まとめ
今回は学校の授業や実習で習ったことと現場のやり方が違った場合の対処法を説明しました。大切なのはエビデンスであり、変えてもよい手順や物品は状況に臨機応変に合わせていくのがよいのではないでしょうか。
やり方の違いは新人看護師だけの悩みではありません。経験のある看護師でも転職で職場が変わった際にこれまでのやり方との違いに悩む場合があります。時には新しい職場のやり方になじむことができず、人間関係を悪化させてしまい早期退職に繋がってしまうことも。
転職エージェントでは、転職を希望する看護師の不安を徹底的にヒアリングし、転職活動のサポートを行っています。医療機関とも密に連携をとっているため、求職者と職場のミスマッチが生まれにくいのが特徴です。
転職は人生のターニングポイントのひとつであり情報収集は欠かせません。ぜひ、転職エージェントがもつ医療機関に関する情報をあなたの転職活動に活かしてみてはいかがでしょうか。